ゆっくりと女がドアから歩いてくる。
年は30を過ぎたくらいだろうか……背が高く、美しい端正な顔立ちだった。
しかし、それよりも由美が感じた第一印象は胸が大きいということだった。
自分よりもボリュームのある人を見るのは珍しいほど。
しかも……着ているのが際どいボンテージファッションで、豊か過ぎる双乳は乳首のみが光沢のあるラバーで隠されているだけ。
色気たっぷりなその姿と肢体。
歩くたびに、その弾力と柔らかさを証明するように揺れる。
「……」
(いろんな意味でバカ丸出しの恰好ね……でも……)
自分の腕をチラッと見て・・・。
(こんな風にあっさり捕まった私の方がバカか……。それに全裸で完全に拘束されて……。)
(それにしてもあの手にも持った小瓶と筆と刷毛は何なの?)
『こんにちは、由美さん』
自分の名前を知られていても、もはや驚かない。
優秀な自分が捕まったのは明らかに情報が漏れていたから。
「……」
『あらあら、挨拶もなし? どう躾けられたのかしら? 私は玲子よ、よろしく』
「……」
『つれない子ねぇ~。じゃあ単刀直入にいうけど、パスワードを教えてっ♥』
「あのデータの意味知ってるの!? あのデータは……」
由美は初めて反応し、怒鳴る。しかし……。
『どうでもいいわよ』
「っ!」
『私もしがない中間業者なの。中身の内容なんてどうでもいいわっ。きちんとクライアントに中身を渡せればそれで』
「ぺっ」
『なかなか元気な子じゃないっ、とっても好みっ♥』
玲子は唾を吐きかけられても全く動揺せず、持っていた筆を由美に向かってゆっくり伸ばしてくる。
「……」
由美は無表情、無反応で通しているが……内心はドキドキだった。
(何なの? この筆?)
「ふひゃっ! あははははーーーっ!」
筆が無防備な腋を上から下にゆっくりと撫で、擦ってくる。
謎の液体を塗られた腋はテカテカと輝く。
由美は組織に痛みの訓練は受けていた。
しかし、こんなことをされるとは思ってもいなかった。
「……っ!」
(馬鹿にしてっ! こんなの何でもないわよっ!)
一瞬だけ声を出したのは、意外すぎて驚いただけ。
そう自分に言い聞かせ、気合を入れ直す。
しかし……。
(……なんだか熱い)
初めは部屋の温度が上がったのかも思ったが、それは違っていた。
腋からの熱はすぐに猛烈な痒みになっていく。
「あぁっ!! 何っ!? んはぁっ!」
(痒い痒い痒い痒いーーーーっ!!!)
1秒たりとも我慢できなかった。
由美は痒みを軽減しようと手足をめちゃめちゃに動かす。
彼女が揺れ動くたびに、形よく盛り上がった巨乳がぶるんぶるんっと音が聞こえてきそうなほど弾む。
『あらあらっサービス満点ねっ♥お姉さん興奮しちゃうっ♥』
しかし羞恥心を感じている余裕もないほどの痒み……そして猛烈なじれったさ。
(腋が変になるっ! 狂うっ! 狂っちゃうーーーーっ!!!)

自分が自由に動ければ、どれだけ嬉しいだろう……どれだけ掻くだろう……そう思い動こうとするが拘束具はビクともしなかった。
せめて自由になる首を左右に振りまくる。
『可哀想に……助けてあげるわね』
筆が再び、腋をリズミカルに這い、掻き乱してくる。
「ぶひゃひゃひゃはははははーーーーーーっ!! ふひゃっ! ひっ、ひーーーっ! くははははーーーーっ!! やめてーーーっ!!! おかしくなるっ! おかしくなっちゃうーーーっ!」
整った顔をめちゃめちゃにし、涙と鼻水を出しながら大声で叫ぶ由美。
先ほどまでの無表情で押し通していたクールな女はいなくなっていた。
(何なのこれっ! あぁでもこれすごいぃいいいいーーーーーーっ!!)
くすぐったさという子どもの刺激と、大人の快感を同時に味わわされる。
猛烈な痒みが消えていく解放感は由美が体験したことのない快感で……たまらなかった。
由美はビクビク痙攣している。
『あははっ! やっぱりこれ最高に面白いっ♥』
子どものような笑みを浮かべ……腋を擦り、くすぐりながら、今度は筆を下へ。
「あはははははーーーーーーっ!! ち、ちょっとっ! そこはっ! ぎゃひゃっひゃっひゃっーーーーっ!そこはダメーーーっ!!!」
『ふふふっ! 今度はあ・し・う・らっ♥』
柔らかい土踏まずを、筆が出鱈目に走りまわり、好き勝手に突っつき撫で回してくる。
もともと敏感な足裏が液体のせいで、ますます敏感になっていく。
「ぶひゃひゃひゃひゃーーーーーーっ!!!! もう無理っ! 息できないっ! いっきっ! うぐははははははーーーーーーっ!!! ヒャッヒャッヒャッヒャッーーーーっ! く、くしゅぐたいーーーーっ!!!!」
全ての足指がピンッと立ち上がったかと思うと、すぐに軟体動物のようにウネウネと曲がったりと忙しなく動く。
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